大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(う)4181号 判決

被告人 西村隆作 外

〔抄 録〕

控訴趣意第二点について。

原審第五回公判期日において、弁護人会沢達伸が、被告人等としては原判示各金員の供与を受けざることの期待可能性がなかつた旨を主張したことは、記録により明らかなところであり原判決が右主張に対する判断を「明示的に」示していないことは、まさに所論のとおりである。しかし期待可能性がなかつた旨の主張に対する判断の判示方法は必ずしも常にその主張事実を揚げて、これに対し直接判断を示す方法をとることを要するものではなく、その主張事実に関し却つて反対の事実を認定して、間接に主張否定の判断を示す方法をとることも差支えはないと解すべく(昭和二十四年(れ)第三六八号、同年九月一日第一小法廷判決参照)、原判決は、被告人等が三村勇から、候補者宮田重文に当選を得しめる目的をもつて、同候補者のため投票並びに投票取纏め方を依頼された後その報酬として供与されるものであることの情を知りながら、原判示各金員の供与を受けた旨の事実を認定判示しているのであるから、間接的に弁護人の期待可能性の理論にもとずく事実の主張に対して否定の判断を示しているものとみるのが相当である。さすれば右判断を示さないことにより原判決に訴訟手続上の法令違反があるとする所論は失当である。

論旨は理由がない。

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